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量刑

量刑の決定ポイント

量刑にあたって考慮される要素について

最高裁判例によれば、刑事裁判における量刑は、被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法等すべての事情を考慮して決定されます。


以下、それぞれについて付言します。

1. 動機、方法及び態様

動機が反社会的であったり、私欲を満たすためであったり、情欲に任せたものであったり、通り魔的だったりすることで、量刑が重くなります。被害者から以前に何かをされて恨んだ末に犯行に及ぶのと、理由もなく犯行に及んだのとでは量刑事情がことなります。
方法や態様が残忍で執拗で危険であったり、巧妙であったりしても、量刑は重くなります。泥棒をするのに、素人的な方法で開いている窓から侵入するのと、工具を巧みに使い鍵を壊して侵入するのとでは量刑事情が異なります。

2. 結果の大小・程度・数量

同じ傷害罪でも、全治2週間と全治3カ月とでは、量刑も異なります。
結果に関しては、刑法の罪における結果以外の悪い結果が発生してしまった場合も、量刑事情としては考慮されます。たとえば、監禁をされた被害者がそのことを苦に自殺をしてしまった場合などです。

3. 被告人の性格

被告人の性格からみて取れる反社会性や常習性、犯罪傾向の進み具合、粗暴性などは、量刑事情に影響を及ぼします。

4. 被告人の一身上の事情

被告人の年齢や経済状態、定職に就いているかどうかなども量刑に影響します。
たとえば年齢が若ければ、更生の見込みがあるという点で量刑に対しても有利に作用します。

5. 前科・前歴

前科・前歴があれば、再犯のおそれありということで、情状が悪くなります。前科に関しては、刑の言い渡しが失効した後も量刑事情としては考慮されますが、あまりにも昔のものに関しては量刑事情として考慮することに対して慎重な運用がなされています。

6. 余罪

余罪に関しては、条件付きで量刑事情として考慮できるとされます。実質上、余罪を処罰する趣旨の場合は量刑の資料とすることはできず、単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知する場合には量刑の資料とすることができます。実質上、余罪を処罰する趣旨としては考慮してはいけないが、単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知するための資料としては考慮してよいということです。
実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮してはいけないというのは、刑事訴訟の基本原則の1つである不告不理の原則(起訴されていない犯罪について裁判をしてはいけないという原則)に抵触してしまうからです。
単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知するための資料として考慮することができるというのは、一方で、実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮してはいけないこととの区別が難しいです。しかし他方で、時間をかけて余罪を徹底的に捜査して起訴するよりも、量刑資料として考慮するにとどめるという効率的な運用が可能になる点や、非行を考慮できるのに余罪を考慮できないのはおかしいという理由などから、結論としては実務上、認められています。
もっとも実際には、実質上、余罪を処罰する趣旨で考慮することが禁じられている以上、単に被告人の性格、経歴および犯罪の動機、目的、方法などの情状を推知するための資料として考慮するにしても、量刑上に大きな影響を及ぼすような考慮はできないようです。このことはたとえば、薬物の自己使用で過去の使用歴を自白している者が、本件が生まれて初めての使用であると言い張っている者よりも量刑が重く処罰されるのは不当であることからも理解できるところです。

7. 反省

たとえば大麻取締法違反で起訴されている被告人が、大麻の所持が違法であることはおかしいと考えているなどと、雄弁な被告人が誤解を招く持論を展開したりすることがあります。被告人が反省をしているにもかかわらず、誤解を受けて反省していることを疑われないように、弁護人としては十分に注意する必要があります。

8. 被害弁償

結果的に被害弁償がされた場合は、被告人に有利になります。仮に被害者が示談金を受け取らずに被害弁償がなされないとしても、弁償に向けた努力は一般的に、一定の評価を受けます。示談活動の記録をつけるなどして、被害弁償に向けた活動を形に残すべきです。
被害弁償の額ですが、余罪の被害額が相当額に上る場合は、起訴された本件の被害額以上の被害弁償を検討することも、場合によっては必要です。
示談がなされない場合に贖罪寄付をすることがありますが、被害弁償ほどの効果は見込めないものの、量刑事情において一定の評価をされます。贖罪寄付に関しては、お金のない人にはできないので、金で刑を買うという批判もあります。この点、たとえば社会奉仕活動は、お金のない人にもできるので、お金のない人にもできる贖罪寄付として有効ではないかとも考えられます。

9. 自白

反省して自白していることが有利に働くことは間違いありませんが、だからといってやってもいないのに虚偽の自白をすることは絶対にしてはいけません。
否認や黙秘をすること自体は、検察官に対する対立当事者として正当な防御活動です。証拠上、明らか事実に対して、悪あがきに見られるような不合理な否認・不合理な黙秘を続けた場合には、否認をしたことや黙秘をしたこと自体ではなく、その公判廷での態度からみて取れる反省のなさを結果的に、量刑上不利に考慮されることはあります。弁護士と相談して供述態度を決定することで、総合的な判断をするべきでしょう。

10. 社会の処罰感情

社会の処罰感情が一般的に、量刑事情に影響することは否定できません。
ちなみに、特定の犯罪に対する社会の処罰感情はときどきの社会背景によって変化します。

11. 社会的影響

凶悪犯罪によって社会が感じる不安やこれに対する対策コストなどです。

12. 社会的制裁

逮捕や勾留によって会社を首になったり、有名人などが報道によって社会から報復を受けたりすることなどで、被告人にとって有利な事情になります。

13. 被害者側の事情

被害者に落ち度があれば、量刑は被告人に有利になります。たとえば被告人の暴行が被害者の挑発に対してなされたものである場合などです。
被害感情が強い場合は、被告人に不利に作用します。弁護士としては、被害弁償や示談、寛大な処罰を求める嘆願書を書いてもらい、被害届や告訴の取り下げをしてもらうことなどで対応し、被害感情が癒されたとして被告人に有利な情状立証をします。

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